結婚

4. 嫁と少子化

嫁。
ほんの65年ほど前まで、日本社会には、こんな差別語が健在でした。
嫁は夫の下、家族の中で最下位、使用人の上に位置する働き手だったのです。
字は家の女と書きますが、その家で生まれたのではなく他家から貰われてきた女。
嫁は、家族のために働き男子を産み血を繋ぐ、男子が生まれなければ離縁です。
男性上位の歴史が長かった日本社会では、現在では信じられない考え方が脈々と続き、
その継承者はなんと卑下され、辛い時代を生きた女性達だったのです。
嫁時代を偲び、産んだ男の子が次の家長ですから、一気に家長の母になった。
家長の母という、大きな権力を持ったら、今度は嫁をしごき、働かせる。

現代の子ども社会に見られる苛めっ子の秩序は、昔から日本社会にあったのです。
敗戦後、アメリカ的男女平等が持ち込まれ、女性も選挙権を得ましたが、
65年前まで続いた男性上位の感覚をいまだに高齢者が持っても驚いてはいけません。
息子が結婚したら嫁を貰ったと思う感覚は、親世代の心にはまだあるでしょう。
この親の考えのため、若夫婦が離婚してしまった例は少なくないのです。

結婚を決意したら、挙式前に親夫婦と話し合っておくことがスマートでしょう。
親と子世代の違いだけではなく、歴史的な意識の違いを軽く見てはいけません。
うちのお嫁ちゃん、強いのよ。だから私なんかいつも負けてばっかり。
時代が違ったからね。 仕事場では、凄く優秀で、出来る女って呼ばれているんですって。
聞いただけでも、強そうだわ。 そうなの、孫の面倒も私の考え方は古いから任せられないって。
へ〜、それで、保育園に入れてるのお孫さん。
世間体が悪いと私が言っても、息子は嫁の言いなりで聞く耳持たずなの。

皇室では、現在になっても皇位継承権は、男性にしかないとか、 いやもう女性に与えてもよいのでは
ないかと議論は決着に至っていません。
皇位継承権の議論を、現代の女性たちは冷めた目を薄く開けて眺めています。
どこの国が、男女同権なんだっけ…心は白けるばかり。
皇室とは縁がない身だから自分とは関係ないと嘯きながらも、 社会全体の本音を見抜いた気持ちで、
心はますます冷えて行きます。
あ〜あ、今でも、社会の考えは男上位と言うことか、あ〜あ、あ〜あ。
こんな嘆息を吐いている女性の心を男性達も高齢者も気づいていないでしょう。
悩ましい少子化の原因は、この辺にあるかもしれないのに。

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