トンネルの通行券
では、と…トンネルを抜けて、心の旅に出ましょうか。
始めに、どのトンネルを抜けたいの?
それとも、どんな世界へ行きたいの?
ええ、あなたのお望みの世界へどちらへでも。
嘘じゃなくて、本当の話よ。
でも、ひとつだけ条件があるから、聞いてね。
トンネルを通るのに、通行券がいるの。
う〜ん、騙してないない、本当よ。
だって、この通行券は、あなたの眼から感動で出る涙なんだもの。
料金は感動の涙でございますから、よろしくお願いします。
それでも騙したって思う? ああ、良かった。
あなたが見て、感動して心がぶるるって震えて出た涙が通行券なの。
だから、涙が出るほど感動したものが、トンネルってことね。
まさか、何にも感動したことがないってことは・・・ないでしょう。
へ〜、感動したことがないなんて、あなたこそ、嘘をついているね。
でも、まあいいか、今言い合ったってしかたがないものね。
じゃあ、月のトンネルを抜けてみましょうか。
ほら、月を観て、今どう感じてる?
きれいで明るくて、美しい。
とっても素敵よね。
私もそう思う。
ねえ、それで、月って美しいけれど、すごく寂しそうとは感じない?
宇宙の空間に、一人ぽっちで浮かんでいる姿は、なんかとても寂しそう。
きっと、地球もあんな風に月からは見えているんでしょうね。
そう、心がじ〜んとして涙が出たのね、私もよ。
そのまま、しっかり両目を開いて、心を月の真ん中へ送り出してごらんなさい。
あらま、簡単にトンネルを抜けてしまったみたい。
じゃあ、私も急いで後について行こうかな。
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Mizuho Mi Suguri