12歳のSさんへの手紙

もう春ですね。
水仙の花の香りと梅の花の香りと、どちらも私は大好きです。
イヌフグリって花知ってますか。
直径1センチもない、水色の小さい花です。
その花が土手に咲くと、「春が来た」って嬉しくて嬉しくて腰に手を当てた格好で、
どこまでもどこまでも探しながら歩いたのを覚えています。

誰かの「助けて!」って声には、100%反応する自分でなければなりません。
それは理屈ではなく、それ以前の問題です。
無意識のうちに「助けなきゃ」と、飛び出さなくて、なんで人間と言えましょう。
同族の人間が「助けて!」って叫んでいる時に、まず自分のことを考えるのでは、
くだらない大人と同じではないですか。
どう思われるかなんて、自分の知ったこっちゃあない。
思いたい人が思えば良いことです。
Sさんは、助けを求められているのに、知らん顔するような人非人ではいられないはずです。
そこに100人が立ち止まってただ眺めていたって、それがなんの意味があるのですか。
助けを求められているのに眺めたり通り過ぎたりするのは、人間の恰好をした心なし人間たちです。
人間は心があるからまっすぐに立って歩けるのですよ。
心は、まっすぐ立った背骨の中にいるからです。

でも、心の発動なく、頭の悪い頭脳がしゃしゃり出て「どっちが得かな損かな」って
判断するようでは、誇りある人間とはいえません。
心なし人間は、知った風なことは言えるけれど、美しいものは感じられないのです。
心の眼がないのですから。
心なし人間は、動物より劣る感性しか持っていません。
Sさん、あなたは誰ですか。
ナイーブな心を持った、素敵な女の子でしょう。
自分の心を大切にしっかり抱いて、生きて行きなさい。
自分からは、一生逃げられないのです。


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